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やーめたっ!で、文化財– 嗜好のけんちく〈19〉

防府市の防府天満宮内にある春風楼について書く。

大きな屋根が目を惹く春風楼

大きな桟瓦葺き屋根の楼閣風の建築で、正面の石段を登ると防府の街が一望できる。天気の良い日の昼間には瀬戸内特有の海からの風が大きな屋根の下を吹き抜け、とても気持ちが良い。

防府天満宮に付属するお籠堂(信者や行者が籠って祈祷や修行をする場所)で、今は展望台のようであり、心地よい休憩スポット。

防府の街が一望できる

内部は大きな屋根を支える表しの架構、高い天井、ダイナミックな空間でそれだけでも見応えがあるけれど、注目はそこだけではない。正面の階段を登って景色を眺めたら、ついつい建物を後にしてしまいそうだが、けんちくを見に行く時はとりあえず建物は一周するし、上れるところは全部上るし、立ち入り禁止でない限り入れるところは全部入るのがセオリー。

 

大学で建築の学び始めたときに、警察に捕まったら身元引受人になってやるから、どんどん見に行き、建物の中に入っていろいろ見て来いと先生に言われたけど、、、ご時世柄、今はそうはいかない。それでも興味深そうに建築好きです感を出しながらキョロキョロしていると、ときには普段は見られないところを見せてくださったり、案内してくださることもある。マナーを守りながら、節度を持って見学しましょう。

 

話は逸れたがこの春風楼は、床下が豪華過ぎるのだ!上部は屋根が大きく広い空間を作るために、先述のとおりダイナミックな空間ではあるが、装飾が施されている訳でもなく、シンプルで清廉としている。対照的に床下に禅宗建築などでよく見られる細工の細やかな組み物が施される。そもそもは跳ね出す軒を支えるための架構形式なのに、なんで?床下に??全然見えないのに。

 

なぜかと言えば、春風楼は文政2年(1819)に五重塔の建設計画が始まり、文政5年(1822)に工事が始まったが、防長両国の全藩領で発生した天保二年の大一揆(1831)などの影響で、資金難となり工事が中断。その後何度か再開されたものの結局進展することなく、結局途中まで建設が進んだ状態で断念されていた。

春風楼の床下

紆余曲折を経て明治6年(1873)に、それまでに完成していた塔の一層目の軒下の組み物をそのまま、建物の床下に組み入れた形で楼閣様式のお籠堂として新たな建物が完成。思い立ってから54年後!防府天満宮の中で現存する主要な建物中では最古で、2012年には国指定の登録有形文化財となっている。

 

床下の組み物や大きさを眺めていると、もしこの大きさで五重塔ができていたらと思うと浪漫がある。でも、もうやーめたっと、豪華過ぎる再利用をしてしまう大らかさや潔さもなんかいい。

 


春風楼 所在地:

山口県防府市松崎町14-1 Google map

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