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⑯ネパールでヨマリ

11年間ネパールに通い続けても、まだ出会えていないものがあった。それは『ヨマリ』。

「地球の歩き方」でも紹介されているそれは、ネワール族が満月祭のときに食べる祝い菓子である。

まず見た目がいい。この世のものは、白くて丸けりゃなんでもかわいい。大体何を食べても美味しいネパールであるから、その頂点がヨマリである可能性もある。好奇心の特攻隊長として、今年の渡航では絶対にヨマリを食べると決めていた。

 

ネパールのことはダイ(おじさん)に聞くべし。わたしはカトマンズで顔見知りのダイに会うたび、RPGの村人のように同じセリフを繰り返した。「ヨマリはどこ?」

「ヨマリ?いまは売ってないよ、あれは満月のお祭りのものだよ」

「そんなことは知ってる。でもどこかにあるはずなんだ。ヨ〜マ〜リ!ヨ〜マ〜リ!」

手を叩きながらヨマリコールをする女。まもなく不惑。ダイたちはうーん、という顔をしながらも「もしもし、ヨマリを探してるんだけど」とあちこちに電話してくれるのであった。

 

それでも有力な手がかりが掴めぬまま数日が過ぎた頃、仏画工房に顔馴染みのダイが新しいダイを連れてきた。

「お嬢さん、ヨマリ食べたいって聞いたけど。お店知ってるよ」

「!!」

闇ヨマリを知るダイ

逸る気持ちを抑え、「オーケー、乗った。ただ生憎わたしは仏画がSo busyでね」と500ルピーを託した。自分で買いに行く気ゼロ。どさくさに紛れてダイをパシらせるんじゃない。

15分後、ダイがビニール袋持って帰ってきた。ヨマリが来た〜っ!!と飛び跳ねるわたし。微笑むダイたち。

なんかベコベコしてるヨマリ

 

「さぁみんな、食べて!」と仏画工房でお振舞い。これが念願のヨマ…ん?

「ハハハ、良かったね!どうだい味は」

「おもてたんとちがう」

多くの日本の子どもたちが『フエラムネについてるおもちゃばこを開けたあとに言うセリフNo. 1』を、わたしもヨマリに対して言うことになるとは思わなかった。ヨマリ…

「??美味しいってこと?ほら、もうひとつ食べなよ」

「ノーヨマリ」

「!」

「白ヨマリは駄目だったか。黒ヨマリもあるんだがね」とすかさずヨマリダイ。後日、黒ヨマリを試す様子をインスタライブで配信してひと暴れしたが、白だろうが黒だろうがノーヨマリに変わりはなかった。

 

このヨマリ蜂起(?)以降、ダイたちが「今日もヨマリ食べる?」と声をかけてくれては「ノーヨマリ!」と返すのでひと笑いが起きるやりとりを繰り返した。

まぁ、味は好みだと思います。めでたいお菓子ではあるので、みなさんにも一度食べてほしい。

「ヨマリ、どこ?」

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