11年間ネパールに通い続けても、まだ出会えていないものがあった。それは『ヨマリ』。
「地球の歩き方」でも紹介されているそれは、ネワール族が満月祭のときに食べる祝い菓子である。
まず見た目がいい。この世のものは、白くて丸けりゃなんでもかわいい。大体何を食べても美味しいネパールであるから、その頂点がヨマリである可能性もある。好奇心の特攻隊長として、今年の渡航では絶対にヨマリを食べると決めていた。
ネパールのことはダイ(おじさん)に聞くべし。わたしはカトマンズで顔見知りのダイに会うたび、RPGの村人のように同じセリフを繰り返した。「ヨマリはどこ?」
「ヨマリ?いまは売ってないよ、あれは満月のお祭りのものだよ」
「そんなことは知ってる。でもどこかにあるはずなんだ。ヨ〜マ〜リ!ヨ〜マ〜リ!」
手を叩きながらヨマリコールをする女。まもなく不惑。ダイたちはうーん、という顔をしながらも「もしもし、ヨマリを探してるんだけど」とあちこちに電話してくれるのであった。
それでも有力な手がかりが掴めぬまま数日が過ぎた頃、仏画工房に顔馴染みのダイが新しいダイを連れてきた。
「お嬢さん、ヨマリ食べたいって聞いたけど。お店知ってるよ」
「!!」
闇ヨマリを知るダイ
逸る気持ちを抑え、「オーケー、乗った。ただ生憎わたしは仏画がSo busyでね」と500ルピーを託した。自分で買いに行く気ゼロ。どさくさに紛れてダイをパシらせるんじゃない。
15分後、ダイがビニール袋持って帰ってきた。ヨマリが来た〜っ!!と飛び跳ねるわたし。微笑むダイたち。
なんかベコベコしてるヨマリ
「さぁみんな、食べて!」と仏画工房でお振舞い。これが念願のヨマ…ん?
「ハハハ、良かったね!どうだい味は」
「おもてたんとちがう」
多くの日本の子どもたちが『フエラムネについてるおもちゃばこを開けたあとに言うセリフNo. 1』を、わたしもヨマリに対して言うことになるとは思わなかった。ヨマリ…
「??美味しいってこと?ほら、もうひとつ食べなよ」
「ノーヨマリ」
「!」
「白ヨマリは駄目だったか。黒ヨマリもあるんだがね」とすかさずヨマリダイ。後日、黒ヨマリを試す様子をインスタライブで配信してひと暴れしたが、白だろうが黒だろうがノーヨマリに変わりはなかった。
このヨマリ蜂起(?)以降、ダイたちが「今日もヨマリ食べる?」と声をかけてくれては「ノーヨマリ!」と返すのでひと笑いが起きるやりとりを繰り返した。
まぁ、味は好みだと思います。めでたいお菓子ではあるので、みなさんにも一度食べてほしい。
「ヨマリ、どこ?」