「トランスフォーマー」と言えば、現在では一般的にマイケル・ベイ監督によるSFアクション映画のイメージが強いと思う。しかし、我々の世代にとっては、80年代前半にタカラ(現・タカラトミー)が多数の変形ロボット玩具を一気に発売して、玩具店の平台を占拠したおもちゃシリーズというイメージの方が強い。
元を辿れば、タカラが発売していた2大変形トイシリーズである「ニューミクロマン(の中のミクロチェンジシリーズ)」と「ダイアクロン」が源泉。「TRANSFORMERS」はそれらを輸出する際、アメリカのハズブロ社と提携して作り上げたコンテンツだ。
「ミクロチェンジ」と「ダイアクロン」では、日用品や車・飛行機等に変形するロボットを操縦する人物が主役だったが、「TRANSFORMERS」では大胆にも変形ロボット自体を宇宙の生命体に設定。多種多様な性格を持つロボットたちが活躍する群像劇として描写され、それが当時の子供たちにとっては衝撃であった。
しかも敵側まで大挙して発売されることで、「ガンダム」のジオン軍モビルスーツの商品化を例に出すまでもなく、手元で両者の対立という世界観を再現できるという点も新しかった。少数ながら敵陣営をラインナップに加える試みは「ダイアクロン」にもあったが、「TRANSFORMERS」における、児童向け商品で敵味方双方のアイテムボリュームがほぼ同じというのは、当時としては挑戦的だったのではないかと思う。
※ 象徴的存在の「コンボイ」。現在は「オプティマス・プライム」と呼ばれることが多くなった。これは最近発売された仮想復刻版的な「ミッシングリンク」シリーズ。
ほどなくしてアニメ放送が開始されたものの、地方では正に「視聴困難コンテンツ」であり、雑誌等の断片的な情報に胸を躍らせ、後々に至るまで視聴困難コンプレックスを抱えることになる。
長々と背景を解説してしまったが、平たく言ってしまえば、それまでに触れていた変形玩具を一部仕様変更しパッケージを替えただけの商品。それが何故か大当たりし、何故か私の心にも刺さりまくったのだ。
ギミック至上主義だったであろう当時の自分にとって、平台に積まれた未知のギミックの集合体たる商品の数々は、無限の可能性であると同時に、購買能力の限界を痛感するというジレンマでもあった。入手のチャンスはごくわずか。しかも高学年に差し掛かる頃だった事もあり、「そういうものを買うのは恥ずかしい」という社会通念に抗うのは相当に困難だった(笑)。
それでも何かにつけて少しずつ集めてはいたわけで、それが確実に現在の自分の基礎(≒浪費癖)になっている。未だにトランスフォーマーのおもちゃを買ったり処分したりを繰り返したりしているが、その過程に後悔は殆どない…はず。
…あれ? 気付けば自分にとってのトランスフォーマーの魅力のようなものをほぼ語っていない。というわけで、まだ続きます。