◼️BRASIL’65 / SERGIO MENDES TRIO / 1965年◼️
夜明けの雨
夜の明ける前、なにかを拒むかのように降りだした雨。
いつしか霧のようになった雨は、窓ガラスにいくつもの煌めきを置いてゆく。
「今日は一日中、雨かしら?」
そう言って彼女は、窓の煌めきをぼんやりと眺めた。
爪弾かれるギター、儚く湿った歌声、そして雨粒のようなピアノ
休日の午後じゃない、真夜中から夜明けが似合うボサノバ。
セルジオ・メンデス’65名義、まだA&Mレーベルからの作品で世界的に成功する前に作られたこのアルバムは、自身のピアノトリオ、曲により女性ボーカル、ギター、サックスが加わる。
ポップス寄りの楽曲になる前夜、ジャズやボサノバのスタイル、繰り返し聴きたくなる一枚。
…いつしか雨はあがっていた。
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歌謡曲にブラジル、フレンチ、ジャズにアイドル、気の向くままに買い集めたレコードを前に気づくのは、“音楽が好きなんじゃない、レコードが好きなんだ”ということ。