◼️アンヌの物語 / しばたはつみ / 1976年◼️
圭子は十五歳からの暗い過去を歌い、豊は閉塞感や葛藤を走り抜ける。
そして、はつみが歌うアンヌの場合は…
初めての名も知らぬ男に逃げられて泣いた十七、青いインクで同棲しようと書かれた手紙を破り捨てた二十五、年下の男がある朝消えた三十、涙を流すこともいつの間にか忘れた女の物語。
長いまつげ 光るドレス 場末のクラブ
散々でありふれた場末のクラブの物語に似合わず、曲はタイトなドラム、うねるベース、吠えるブラスセクションで演奏されるファンク歌謡で、アルファレコード創立や「翼をください」の作曲で知られた村井邦彦氏のペンによるもの。
愛の不在、刹那の愛には“場末のクラブ”の響きがよく似合う。
愛 愛 そんなものは あの娘にない
…お客さん、そろそろ閉店です。
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歌謡曲にブラジル、フレンチ、ジャズにアイドル、気の向くままに買い集めたレコードを前に気づくのは、“音楽が好きなんじゃない、レコードが好きなんだ”ということ。