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㉑地球の歩き方

海外を放浪しているとき、日本人だと分かると途端に親切にしてもらえたり、スペサルなサルビスを提供してもらえることがあります。特にアジア圏の親日とされる国においては、幾度となく現地の人から好意的な対応をいただきました。先人たちの恩恵ともいうべきか、ありがたいことです。

─これは好意的というか曲を弾くのでお金をくれと言っているインドのおじさん─

わたしがネパールを初めて訪れたとき、ダイ(おじさん)から「Heaven is an American salary, a Chinese cook, an English house, and a Japanese wife.(天国とは、アメリカの給料、中国人のコック、イギリスの家そして日本人の妻を持つこと)」という格言を聞きました。それが古い言葉であれ、日本人女性が海外ではそのように評価されているのか、と驚きとともに素直に嬉しく感じたものです。

「つまり、日本人女性と結婚するのはネパールドリームなのさ。俺と結婚しないか?ハッハッハ」と軽口を叩くダイ。それに便乗した周りのダイが「こいつはノーハニー・ノーマニーなんだ、助けてやってくれ!ハッハッハ」とジョークを盛り上げるのが定番の流れのようでした。そんな内輪でキャッキャしてるところに口を開いた小粥、「だ ま れ」。思ってた返しじゃなさすぎて狼狽えるダイたち。格言への信頼性が揺らいだ瞬間でした。日本人妻とは─。

─わたしと出会ってから決して「日本人の妻がいい」とは言わなくなった仏画の先生・ディパック。「ネパール人でいい」。─

考えてみれば、なんだかんだ女性ひとり旅はラッキーなことが多い気がします。日常的に起こる小さなラッキーも、日本ではあまり聞き慣れない歯の浮くような褒め言葉も、オーバーなほどのレディーファーストも、旅の思い出として味わう分には決して悪くないものです。もちろん中には何が目当てなのか、いい人もいればそうでない人もいるので、日本にいる時より危機管理を徹底して身を守る必要があります。現地の人に心を奪われたぐらいならいいですが、旅の色んなトラブルを聞きますからね。

もはや笑い話なのですが、それなりに警戒していたにも関わらず一度ハンサムなチベット人に人中を奪われたことがあります。人中、いわゆる鼻の下。思わず「なんだそれ!!」とツッコむ羽目に。勢い余って人中に当たったのか、グラップラー刃牙よろしく人間の急所として狙ったのか、はたまたチベット式の挨拶なのか。こちら元剣道部ですが、ブランクも長いためにその牙突(?)を避けきれなかったことが悔やまれます。「キミに出会えたのは僕のグッドカルマだ」と反省の色がない相手を尻目に、「日本の永住ビザはやらん!」と帰国の途についたのでした。

 

みなさん、油断しないで。でも、旅を楽しんで!

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