結婚前後に訪れた次なるサブカル熱波。それは「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」である。タイトルにあるように、トランスフォーマー(以下TF)シリーズの一つだ。
私がTFをいかに溺愛しているかは、過去の投稿をご参照願うとして、この「ビーストウォーズ」こそが私のTF卒業を阻んだ真犯人と言っても過言ではない。
実は、直前に「トランスフォーマーG2」というおもちゃだけで展開されたシリーズが存在する。TFにフリーポーザブル(自由なポーズを取らせて遊べる)という仕様を導入した画期的なラインナップで、直立不動のロボットトイ群に慣れたファンにとっては相当なインパクトだった。私も数点ほど購入して感嘆したファンの一人だ。
さて、「G2」同様「ビーストウォーズ」にもフリーポーザブル仕様が継承された。しかし、それよりも重大だったのが、動物や昆虫に変形するロボットというコンセプトである。
発売されるやいなや、多数のラインナップがおもちゃ屋の平台を占拠。ゴリラに恐竜、熊、トラ、果てはネズミにハチ、クモといった、その類が苦手な人にとっては手に取ることも躊躇われるような商品群に度肝を抜かれた。実際、虫嫌いな妻には蛇蝎の如く嫌われた(笑)。
当時品のうち、両軍リーダーは大切に保管している。ゴリラがサイバトロンのリーダー・コンボイ、ティラノサウルスがデストロンのリーダー・メガトロンだ。
それまでは、基本的に乗り物や道具に変形していたTFが、生物感のあるフィギュアになってしまった。だが、時代はそれを受け入れた。「スポーン(Spawn)」に代表される、生物感のあるハイクオリティなアメリカントイブームが、既に流行の素地を作ってくれていたのだ。
当然(?)、発売されたものは全部買わざるを得ない。しかも大ヒットで品薄。購買意欲を煽られっぱなしだ!
前掲画像のゴリラと恐竜がロボットに変形するとこうなる。有機質のテクスチャーに無機質のモールドを配置する斬新さがすごかった。
この「ビーストウォーズ」ブームをさらに加速させたのが、当時(1997年頃)は珍しかったフル3DCGアニメである。アメリカ&カナダ制作によるそれは、とにかく凄まじい衝撃だった。
ただ、この「ビーストウォーズ」は、初代アニメ「戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー」のような脳天気な一話完結モノではなく、時代の要請で重苦しいドラマとなった。それでいて「戦え!〜」の正統な続編でもあったのだが、このままでは日本では視聴率を獲得できない…という判断がなされたらしい。
そこで導入されたのが、後にファンから「声優無法地帯」と呼ばれるようになる、声優陣によるアドリブ連発の日本語吹き替えだ。芸達者で有名なキャストが集められ、少しおふざけ要素を増やした台本の隙間を、猛然たるアドリブが埋めていく。これには私も熱狂しまくった。
時代は現・声優ブーム前夜。この無法地帯がブームの端緒の一つを担った…とは言い過ぎか。
令和に復活したリメイク版の両者。よりCGアニメに近い造形になり、設定の身長差も再現している。
そして「ビーストウォーズ」シリーズは数年のブームの後沈静化し、次なるTFブームは、マイケル・ベイ監督による実写版映画まで待つことになる。
その後は「熱波」とまで形容できる自己ブームは訪れていない。強いて言えば「仮面ライダークウガ」には熱狂したが、DVDや書籍は手放したし、本放送以来ほとんど見返していない。
そこで次回からは、色濃く影響を受けたものを年代順に、ごくごく私的なレビューの形で取り上げていくこととしたい。