桜が空を淡く染める午後板橋区立美術館に行きました。
黒から見る江戸絵画「エド・イン・ブラック」がほの暗い会場に浮き彫りにされ、伊東若冲や歌麿、北斎といった色彩を駆使した絵師たちにより「紅嫌い」と言って黒を基調とした作品を残していたことに感銘を受けました。
私は三味線音楽にひかれ修業してゆくうちに何色にも染まらない黒を意識して唄って行くようになりました。
2004年に東京青山の銕仙会能舞台で「玄 KURO」と題し
*幽玄は闇の中の光をみる
かりそめの時をさまざまな色に染めてみたい
やがて玄になるまで*
爾来 いつかはこの道に辿り着きたいとの想いで唄い続けてきました。
2022年は仁和寺・金堂で「玄・光と闇のあわい」と題し
天地万象の根源となる闇の中で
黒と白が織りなす悟りの心を伽藍いっぱいに謳いました。
2023年は両国シアター Xで「闇に燈る聲」と題し
泉鏡花の世界を尺八、能、語り、舞と共に表現しました。
ゆっくりと一歩ずつ墨の織りなす「夜と朝」「闇と光」の作品を観ながら過ぎし日の一枚の舞台を様々に想い出しておりました。
そして今年は桜雲洞の早川さんと弟子の池水さんとの出逢いにより素晴らしいご縁が結ばれました!
新緑の萩の旧家で「光と闇の移ろいを唄ふ」と題し
5月24日菊屋家住宅において「夕ざりに聴く面影の聲」
5月25日熊谷美術館において「ニュアンスを楽しむ三味線と唄」を演奏させていただく運びとなりました。
闇と灯りが織りなす江戸の世界へどのように皆様をお連れしようかしら・・・どの様な新たな出逢いがあるかしら・・・と心浮き浮きと夢心地で稽古を重ねております。