ぼくの趣味は「人の出張に着いて行くこと」だ。去年はネパールに。今年は台湾の台北に。今回は番外編的に台北で見たけんちくについて書く。
台北には世界的建築家レム・コールハース率いるOMAによる台北舞台芸術センターや日本を代表する建築家 伊東豊雄氏による松山文創ビルや台湾大学社会科学棟などの現代建築もあるが、印象的だったのは松山文創園区は台湾総統府専売局煙草工場跡、華山1914文化創意産業園区は台湾総統府専売局酒工廠跡、popop taipeiは瓶蓋工廠台北製造所跡、榕錦時光生活園区は台北刑務所の官舎跡など、日本統治時代の施設跡を文化施設や商業施設のコンプレックスとして、おしゃれにリノベーションした施設が各所にあることだ。

松山文創園区
一角にはそういった歴史、どのように補修し、どういった工法で建物を残しているかまで必ず案内板に詳しく説明がある。時には日本語でも。日本ではスクラップ&ビルドで、どんどん壊しどんどん建てた。今でも解体されて更地になった土地を見て、「何があったっけ?」というのは日常茶飯事。当時の(日本人は日本に残さなかった)建物を活かし、再利用された光景を見ると、色々と感じるものがある。

popop taipeiの案内板
他にもとても雰囲気良くリノベーションして使っているお店や施設が多い。そういった目線で街ぶらしてみるのもお勧め。
台北の街中で自然と体験できる良い空間もある。台北に行く度に良いなぁと思うのが歩道空間だ。ある程度の大きな道路では歩道に屋根がついている。場所によっては屋根のない歩道と屋根のある歩道が並行する所も。

建物の一部が歩行空間になった「騎楼」
これは回廊式建築様式の一つで、台湾を含む華南地域・東南アジア一帯では建物1階の道に面した所に半公共的な部分を設け、2階以上の部分を張り出させるこの形式を「騎楼」と言う。特に台湾では日本統治時代の1900年頃から、一定の要件下では建築物には騎楼あるいは、庇のない通路(建物をセットバック)の設置を法律や条例で義務付けている。私有ではあるが公共の歩道として扱われるため、建物所有者であっても、空間を占有したり、車を止めたりして通行を邪魔してはならない。日差しが強く、時にはスコールのような雨が突如として降ることもある台湾では、騎楼がシェルターのような役割を果たし快適な歩道空間になる。さらにそこは歩道に面した路面店の一部でもあるので、店ごとの内装や雰囲気が染み出してきて、とても面白い空間となっている。ハイブランドショップの内装と同じ仕上げの歩道があったり、小籠包屋さんやマッサージ屋さんのお店の一部のように見えたり、、、。
実は同じように、日本の新潟では豪雪地帯の冬季の通路を確保するために「雁木」と言われる家屋の一部や庇を道路側に延長した部分を設けている所もある。広島県周辺では「雁木」と言えば船着場の階段のある桟橋のことを指し、2025年にフランス開催された日本酒のコンクールで世界最高賞を獲得した山口県岩国市の日本酒「雁木」もそこに由来する。
所変われば名が変わる。名が同じでも品が変わることもある。
次は誰の出張について行こうかしら。着いてきてもいいよ〜という奇特な方、いらっしゃいましたらご一報を笑。