金魚ねぶた
青森県青森市

青森といえば「ねぶた祭り」ですよね。毎年8月2日から8月7日に行われる東北三大祭りの1つで国の重要無形民俗文化財に指定されています。「人形ねぶた」と呼ばれる山車に続き、「跳人(ハネト)」と呼ばれる踊り子たちが「ラッセラー、ラッセラー」と掛け声を上げながら踊り歩きます。
今回青森県に旅行に行き、青森駅前にある「ねぶたの家ワ・ラッセ」というねぶた博物館にお邪魔しました。恥ずかしながらねぶた祭りのことを何も知らなかった私はそこで初めて「人形ねぶた」が毎年作り変えられていることを知りました。
大型ねぶたの運行団体は「ねぶた師」と呼ばれる外部の専門家にねぶた制作を発注しており、ねぶた師は日本や中国の歴史的な出来事や人物をモデルとして人形ねぶたを製作するようです。
この「金魚ねぶた」は「人形ねぶた」として作られたものではありません。
明治初期においては、ねぶたの季節になると、各家で門口に棒脚をつけた金魚灯籠を立て、その下に、水を入れたたらいを置き、灯籠が火に灯されて、水に映る様を鑑賞しながら廻ってくるねぶたを待っていたとのことです。なんとも風情がありますね。
なぜ金魚なのかというと、金魚ねぶたは、津軽錦がモチーフになったと言われています。津軽錦というのは江戸時代に津軽藩に飼育されていた金魚で、背びれがなく、尾びれが長大で体がランチュウより細長く、腹びれなどが金色に光るのが特徴の金魚です。
ただ、当時は上流階級しか金魚を見ることができず、金魚に憧れた庶民がねぶたにしたと言われています。

私は山口県に住んでいるのですが山口県民ならどこかで似たようなものを見たことがありませんか?
山口県柳井市の「金魚ちょうちん」にそっくりですよね。なぜ本州の端と端に似た郷土玩具が存在しているのでしょうか?
江戸末期に弘前の金魚の灯籠を柳井の商人が土産に金魚ねぶたを持ち帰ったのが始まりのようです。そこから独自に形を変え、現在では山口県の代表的な民芸品になっています。良く見ると柳井の金魚ちょうちんにも背びれがなく、尾びれが長大で青森の金魚ねぶたがルーツであることが理解できます。
今年の夏に初めて柳井市の金魚ちょうちん祭りに行きました。白壁の街並みや川沿いにはたくさんの金魚ちょうちんが飾られて幻想的な光景でした。そして巨大な金魚ちょうちんの神輿が街を練り歩いていました。こうして海を渡り、違う形でその街の夏を彩っていることは感慨深いものがあります。

青森県のソウルフードに「味噌カレー牛乳ラーメン」があります。聞くだけだとどんな味?と疑問に思いますが食べてみるともちろん主張の強いカレーと牛乳を味噌が縁の下の力持ち的な立ち位置で深みを底上げしてる感じでした。必ず乗っているというバターが溶け出してとてもおいしかったです。
ルーツはラーメン屋に通っていた中高生達の間でいろんな調味料やソースなどをラーメンに混ぜて試していたところ、「味噌ラーメンにカレー粉と牛乳を混ぜたら美味しい」となったところから来てるみたいです。奇跡とは日常に潜んでいるのですね。
