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私の愛したサブカルチャー #12 〜宇宙大作戦 (STAR TREK)〜

今や世界的な文化となった「STAR TREK」シリーズだが、元々は3シーズンのみのカルトなテレビ番組だった。その後、熱心な視聴者によるファンダムの成立によって、映画化、80〜90年代の続編・スピンオフ、2000年代のリブート映画、配信プラットフォームでのキラータイトルへと続き、メジャーシリーズとして拡大を続けている。

今回取り上げた1作目(以下「TOS(The Original Seriesの略)」)は、シリーズすべての基礎であり規範になっている。それは、TOSがありとあらゆる社会問題を未来の出来事に翻案し導入したからだ。人種、倫理、法律、武力、戦争、貨幣経済への批判…と、枚挙に暇が無い。また、後続シリーズ含め、制作当時の最新科学に必ず言及があり、知識欲も満たされる。

この「エンタープライズ号」が舞台だ。

その一方で、ジム・カーク船長、バルカン人と地球人のハーフである副長スポック、皮肉屋のドクター・マッコイといった、中心メンバーの掛け合いは時に漫才に近く、三人のウィットに富んだ会話劇には多分に当時の時代性も含まれており、絶妙だ。

中でも、演者のレナード・ニモイが亡くなる直前まで断続的にオファーを受け続けたスポックは、シリーズのアイコン。配信中の最新シリーズでは、若かりし頃のスポックが登場しており、その人気の高さが窺える。

個性豊かなメインクルー。

個人的な話に切り替えると、このTOSを初めて観たのは大学生になってから。弟が続編の「STAR TREK: The Next Generation (新スタートレック)」にハマり、TOSのレーザーディスクを買い始めたのがきっかけである。本邦の放送でカットされていた部分は吹き替えがないので、突然字幕になったりしていたのを思い出す(笑)。

当時の私は弟ほどハマらず、数年後の「新スタートレック」の映画化あたりから熱を入れ始め、DVDやBlu-ray、配信サービス等で結局スタートレック・シリーズすべてのエピソードを見た。膨大なエピソード群を擁するシリーズの「ある話を見ておくと、より理解できる/より笑える」というあるあるな部分は今も増え続けており、記憶力不足の我が脳髄にとっては、覚えておくのも思い出すのも毎回大変なのだ…。

TOSのBlu-rayセット。特撮部分は当時版とCGによるリマスター版とを切り替えられ、実にマニアック。

 

それにしても、「宇宙大作戦」という邦題が奮っている。これは日本で放映を開始する当時(1969年)、「スパイ大作戦」が高い人気を獲得していたから…というのが通説。ドラマの内容からすると割とトンデモな邦題なのだが、日本のファンは愛とリスペクトを込めて「宇宙大作戦」と呼んでいるとかいないとか。

 

我が国の、かつての芳醇な「吹き替え文化」が薫るあたりも、また楽しからずや。

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