琉球張子
『ウッチリクブサー』『タウチー』『ホートゥグヮー』
沖縄県那覇市
※今回紹介するものの写真は劣化や汚れがあります。
名前を聞いてもなんのことかさっぱりわからない。さすが沖縄の郷土玩具!
琉球張子は、中国や東南アジアの影響が見られ鮮やかな色彩と独創的な形が特徴です。闘牛や闘鶏、琉球国王主催の競馬など、沖縄の文化をモチーフにしたものが多くみられます。

『ウッチリクブサー』とは起き上がり小法師のことです。三角錐に膨らみを持たせたような形で、頂点から中央にかけてが顔で、白い顔に細長い眉、切れ長の細い目が頭のてっぺんから筆をはねたように描かれた髪などが特徴。顔の下部は黄色地の上に赤と緑で模様が散らされ全体は赤で塗られています。日本各地のだるまや、松山の姫だるま(愛媛)、竹田の姫だるま(大分)などとは全くかけ離れた形と彩色のだるまです。
旧暦の5月4日は沖縄各地でハーリーが行われます。ハーリーとは沖縄各地の漁村で行われる海神様への奉納行事として行う地域行事で、沖縄の漁船『サバニ』でチームごとに競漕します。戦前の沖縄ではこの日を「ユッカヌヒー(四日の日)」と言って子供の健康や成長を願ってオモチャを買ってあげる慣わしがあったようです。そしてかつてのユッカヌヒーは子供たちにとって年に1回のおもちゃ市が建ち並ぶ楽しい「子供の日」でもあったようでそこに並べられていたのが琉球張子でした。その中の目玉商品がこの起き上がり小法師だったと言われています。当時の子供達は倒れても起き上がる面白さに心奪われてしまったのかもしれません。

闘鶏を象どった『タウチー』は本来なら紐がついた代車があり、紐を引いて代車を動かすと2匹の軍鶏の首がゆらゆら動き、突き合う仕組みになっています。闘鶏も東南アジアから沖縄、さらに本土に伝わったとされています。闘鶏で賭けをする風習があったようで人々は軍鶏を大切に育てていたそうです。

『ホートゥグヮー』
沖縄には上記したタウチーをはじめ動物の張子が様々ありますがこれは鳩を象った張子です。他にも獅子を象った『シーサーグヮー』虎を象った『トラグヮー』などがあります。語尾についている“グヮー”というのは“こ”の意味で『犬っこ』などに使われる「小さい、可愛い」などのニュアンスの接尾辞だそうです。沖縄の言葉は難しくて楽しい。
かつての琉球玩具は、大正末期からブリキやセルロイドの玩具が登場したため一旦は姿を消しました。琉球玩具作りの第一人者と言われ、その復元に取り組んだ古倉保文氏は元々郷土玩具マニアでしたが戦争によって全てを焼失しました。戦後記憶を辿りながら廃絶してしまった琉球玩具の復活に尽力されました。今では古倉氏の孫である中村真理子さんが跡を継がれているようです。こうして大切な文化を復活させ後世に残してくださったことに大変感謝です。
沖縄のお菓子といえばちんすこうですよね。ちんすこう大好きなんですが『クンペン』というお菓子も有名なようで元々は琉球王朝御用達菓子として献上されていた伝統菓子だそうです。あんぱんのような見た目ですがさっくりとした生地のなかにゴマ餡やピーナッツ餡が入っておりオリジナリティーのある味のようです。沖縄に!!!行きたい!!!
