吉備津神社のこま犬
吉備津人形 復刻達磨・古形高麗犬
岡山県岡山市
まず岡山県といえば桃太郎伝説ですよね。なぜ岡山と言えば桃太郎となったかご存知でしょうか。その由縁となっているのは『吉備津神社社記』に記された皇霊天皇の皇子、吉備津彦命による『温羅退治(うらたいじ)』です。当時、鬼と恐れられた百済の王子、温羅は備中国新山(現在の総社市)に居城『鬼ノ城』を構え、吉備国(岡山)で暴れ回っていたようです。人々がその乱暴ぶりを朝廷に訴えたところ、吉備津彦命が大軍と共に派遣され、鬼を征伐したことが桃太郎伝説のモデルとなっているとされています。桃太郎のモデルが皇族であったことを初めて知りました。
ちなみになぜ“桃”太郎なのか調べました。岡山ではよく食されていた『桃』が『百』と解釈され、多くの男の中の男ということになったようです。
本題に入りますがこの桃太郎のモデルとなった吉備津彦命が祀られているのが吉備津神社です。吉備津神社は岡山市内ではありますが郊外に位置しており、吉備津造りという桧皮葺き(ひわだぶき)の屋根が比翼入母屋造り(ひよくいりもやづくり)という入母屋の2つ並んだ優美な造りになっています。実際に観に行きましたがその堂々とした佇まいは圧巻でした。398メートルある回廊もとても立派です。
この吉備津神社の授与品が『こま犬』です。
立っている犬、座っている犬と鳥の3つを1組とした授与品の総称で、全長3センチほどしかありません。ちっこくて可愛いです。3個が手のひらに乗るくらい小さいです。
手捻りで作られている土人形で全体を胡粉で真っ白に塗った上に黒、赤、緑などの絵の具で目鼻が描かれています。本殿には大きなものが安置してありました。この『こま犬』は実際に吉備津神社で購入することができました。
犬は盗難や火災除けの力があり、鳥は食事の際の喉詰まりを防ぐと信じられているようです。桃太郎のお供にはきじと犬と猿がいますね、これは本当に吉備津彦命が鳥と犬をお供に連れていたそうでとても可愛がっていたそうです。部下にその飼育を命じたため今もこの地域には犬飼、鳥飼という姓があるとのこと!猿は後付けキャラですかね。
次は吉備津人形復刻達磨です。
これも3センチほどの小さな達磨で3個で1組になっています。この達磨は父、母、子の家族を表しています。写真右から父、母、子供です。よく見ると父はキリッとしています。子供はほぼ日の丸です。パッと見達磨なのかもわからないほどシュールです。
幸せな3人家族を象徴した達磨は子宝、安産、夫婦円満などを願う縁起物です。
次は吉備津人形古形高麗犬です。
私の中でNo.1のキュートさといっても過言ではない郷土玩具です。なんだか現代風ですよね。これは俵を背負った犬ですが本当は3匹で1組で他に宝珠を背負った犬と太鼓を背負った犬がいます。本当に入手困難なので今後他の2匹と出会えることを祈ります。
古代、大陸から朝鮮半島を経て吉備国に渡来した人々は、家畜として犬を大切に飼育していたようで狩猟や農耕に役立てていたようです。高麗犬は盗難や火難、野獣の害を防ぐと信じられていました。
復刻達磨も高麗犬も一度廃絶しましたが戦後郷土玩具研究科の東隆志氏が復元されました。東さんは亡くなられていますが娘さんが製作を続けられているようです。こんなに可愛くて素敵なものを復元してくださり感謝の気持ちです。
私は復刻逹磨と高麗犬を倉敷にある日本郷土玩具館で購入しましたが作る量に限りがあるため手に入りにくいようです。手元にあるものを大切にしていきます。
岡山のB級グルメに『えびめし』があります。見た目は真っ黒チャーハンでお世辞にも美味しそうではないです。カラメルソース、ケチャップ、カレー粉などをベースにご飯に絡めているので黒いみたいです。その上にむき海老や金糸卵などが乗っています。食べてみると見た目に反して甘く辛い味付けで香ばしくてとても美味しいです。岡山から帰った後もしばらくえびめしのことを考えていました。地元スーパーには『えびめしのタレ』が売ってあるので家庭でも再現できます。岡山県に行った際には是非食べてみてはいかがでしょうか。