とくにもやまにも事務局から、地域のイベントレポートをお届けします。
今回はSTOLEN MØBLER.にて開催された『空を包む-崔在皓展』についてです。
《周南に移住して1年ちょっと。時々話に出てくる「崔さん」というお名前と、白磁とはなんぞやという思いと、「空(くう)を包む」というタイトル。この3つに引っ張られ、会場へ伺いました。
STOLEN MØBLERさんのギャラリー。展示を見るたび思いますが、ジャンルを問わず作品が息をしやすそうです。作品が纏う気配を高めてくれる上に、壁が目を鎮静した状態にしてくれるので、展示に集中することができます。
入ってすぐ、正面に並ぶ白磁が殉教した聖人の列に見えました。あまりにも清浄な佇まいで、無垢なのか、悟りなのか。
点在する名作椅子とも見事に調和し、どの角度においても美しいのひとことです。
元々そこにあったみたい。
崔さんは「道/TAO」の精神で白磁と向き合い続けている、と書かれてありました。
自己意想に縛られず、自然の流れに身を任せる。ものづくりをする人間にはなかなか難しいことです。自分の中から生まれたもの、と思うと作品に執着がこもってしまう。でも、「空」に形を与えたことでこの作品が現れた、と思えたら、「空」に手を伸ばすことに徹すればいい。
静かで美しい映像作品を見ているようでした。てんのえさんによる、「空の巻」がこの展示を同伴してくれる仕掛けも面白かったです。
仏画師 小粥》
写真提供:てんのえ