結婚前後に訪れた第一のサブカル熱波は、実に16年ぶりとなるウルトラマンのTVシリーズ復活だ。正確には大学卒業直前のことである。
そのTVシリーズ、タイトルを「ウルトラマンティガ」という。
それまでのウルトラマンは、一部の例外がありつつも、M78星雲・光の国からやって来た宇宙人だった。ところが、ウルトラマンティガは超古代から受け継がれる「光」であるという、スピリチュアル指向に振り切っており、新しいものを生み出そうという制作陣の気概が感じられるものとなった。
この「ティガ」がなければ、現在のウルトラシリーズはなかったと言っても過言ではないし、私も当時全振りで歓迎ムードだったのだが、正直なところ、開幕当初はかなり戸惑いを覚えた。
- ウルトラマンがM78星雲の宇宙人ではない
- 本編部分の音声がアフレコではなく同録 (当時の「戦隊」「メタルヒーロー」はまだアフレコが主な時代)
- 主役がV6の長野博 (ちなみに主題歌担当もV6)
- 一部のキャラクターを除いて割と芝居のテンションが低め
これらを受け入れるのに時間を要した。この新しさを拒絶する感覚は、今で言う「老害」である(当時21歳なのに 笑)。
毎度おなじみ「テレビマガジン特別編集」。当時の熱狂ぶりが編集陣の筆致にも現れていて面白い。
しかし、それらの「違和感」はすぐに熱狂への切符となった。制作練度の高まりもあるが、
- ウルトラマンの内在化
- 同録音声の臨場感 (特にセット撮影では反響を拾って絶妙)
- 超ハマり役だった長野さん (主題歌も伝説の名曲となった)
- 物静かな主役陣が、荒唐無稽な物語に理性的な説得力をもたらす
といった具合にそれぞれ昇華されて行き、制作側の熱の高まりも相まって、特撮ファンの間では「現象」となったのだ。
私は熱狂するとすぐに購買行動に向く(苦笑)。大量に発売された戦闘機や専用車、バイクのおもちゃを買い漁り、「納品マスター直焼き高画質!」を謳ったLDを買い集め、サントラを買い、他は何を買ったか覚えていないくらい色々買った。すでにほとんどを手放したが・・・。
LDを所有していたため、私のDVDリリースへの反応は正直鈍く、この1巻はかなり遅れての購入。Blu-rayもリリースされているが、財力の限界で未購入・・・。
「ティガ」終了後は、世界観を共有した続編「ダイナ」が始まる。これにもハマったが、「ティガ」で燃え尽きたのか、旺盛な購買行動は大いに抑制された。
熱狂は精神も財力も著しく消耗させるが…間違いなく教養の糧になっている。その教養が一般に通用しないのは承知の上だが、以後享受するコンテンツに自分なりの視点が加わり、面白さが増す経験は誰しも持っているだろう。
ほら、Marvel Cinematic Universeみたいに作品があり過ぎるヤツ、一本熱狂的にハマったら、興味が薄い作品でも何となく見てみようかなーって気になるでしょう?