そして、茅葺の大きな屋根。四隅の棟(角)の部分は曲面で、柔らかな印象。軒下の影で壁面が暗く隠れ、離れて見ると陽の光の当たる屋根面だけが目立ち、大きな茅葺の四角錐状の造形物がそこにあるだけのような感覚に。近づけば、屋根の下端の軒の先端が綺麗に刈り込まれ、スパッとエッジの効いた形状。面ごとの光の当たり方に強いコントラストが出る。そのスパッと切れた軒先の線、柱と柱を外側から繋ぐ横に水平に貼られた長押(なげし)、建物周囲の縁、三つの水平の線が、大きな屋根が地面から切り離された印象をさらに強める。質量感がありながらも浮遊感のある大きな茅の塊。とても不思議。

 

と言ったようなことで、月輪寺薬師堂、好きなけんちくだなと思っている。初めて訪れた時には、葺き替え時の黄味がかった色がまだ少し残っており、昼間の陽光を大屋根に湛え、光の塊のようなものが森の中に浮かんでいる光景にいたく感動した。それ以来、時間があれば立ち寄るようになった。

 

 

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月輪寺薬師堂…山口市徳地の小高い丘の上にある曹洞宗の寺院。平安時代後期の建立。国の重要文化財。一説によると、薬師堂の柱に残される無数の釘痕は呪釘の跡とのことで、、、心穏やかに静かに空間に身を浸すのが良いのだろう。

場所:https://maps.app.goo.gl/9kf17yU8tLrLLxjH7