私の特撮(一部ロボットアニメ含む)卒業を阻んだもの、それが何であるかを改めて思い出してみた時、真っ先に思い浮かぶのは「変形ギミックを備えた玩具」である。
70年代後半から80年代にかけては、「超合金」「ニューミクロマン」「ダイアクロン」といった、亜鉛合金製の部品をふんだんに使用した変形玩具の華やかなりし時代。周囲はラインナップを増やし始めたガンダムのプラモデル(後の「ガンプラ」)に夢中になっていたが、私は小気味よいギミックでロボットに変わる飛行機、車、果ては拳銃といったものに魅せられていた。地元のテレビ局で放送している・いないに関わらず、店頭でそれらの商品を見かければ強く惹かれ、コンテンツそのものの視聴機会がなくとも、それらをなんとなくおもちゃ屋で知ることができていたわけだ。
興味の対象はデザインよりも、そのギミック・機構にあった。故にテレビで放送される特撮やアニメでは、変形合体シーンこそが自分にとってのハイライト。当時は恐らく、ドラマの内容など二の次であった。だからこそ、一般的に荒唐無稽とされる内容に幼児性を見出すことなく、そのまま小学校を卒業していったのだろう(笑)。
このギミック至上主義的なモチベーションは、小学校高学年の際に「黒船」として登場した「トランスフォーマー」によって恐ろしく強化され、およそ40年の歳月を経た現在も、その呪縛からは逃れることはできていない…。
さて、もう一つ重要な「卒業阻止」に関する要素がある。それは書籍だ。
小学校低学年の頃に手に入れた、分厚い文庫本サイズのケイブンシャ発「全怪獣怪人大百科」。「月光仮面」を初めとする、あらゆる特撮番組が詳細に網羅されており、この本で特撮番組の歴史等の基礎知識を身に付けた。
※写真は後年発行の特別版。
そして極め付きは、小学校高学年の時。講談社から「仮面ライダー大全集」なる3,000円近くするムック本が発売されたのだ。
特撮からの卒業を逃した小学校5・6年生ともなると、多少の知恵が付いて制作背景なんかも気になり始めており、どこで発売を知ったのか、どうしても入手したくなって、気が付けば近所の書店で注文を終えていた。
その内容は完全に大人のマニア向けに編集されたものであり、当然文章にはふりがなも振られておらず、辞書を片手に読み進めていくような状態であったが、そこには旺盛な知識欲を満たす情報が溢れていた。
正にボロボロになるまで読み込んだので、まともな形では残っていないが、最初の「バイブル」故に保管してある。
こうして立派な特撮マニアになった小学生は、中学校でも特撮マニアとして生きていくことに…ならないのが人生の面白いところ。
要するに音楽に興味が移ったのと、部活に時間を奪われてしまったわけだが、それでも細々と特撮やロボットアニメを摂取してはいた。
次回は、ちょっと時間を戻して「トランスフォーマー」の呪縛についてお話したい。