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⑩永住こわい

だいたい、2年おきに繰り返されるわたくしの自発的な転居。「遊牧民」「移住芸」と揶揄されながらも、犀の角のように独り強く歩んできました。とにかく根を張れないこの性分は、きっと過去世からのカルマなのでしょう。学生時代からずっとそんな感じですから、これまで敷金礼金だけでも相当な金額を支払っていることになります。引越しを繰り返して良かったことといえば、手続きの段取りの良さとパッキングが相当早くなったことぐらい。過去には、いっそ遊牧の民としてゲル(パオ)を購入することを検討したこともありますが、床板をのぞく部材の総重量が300kg近くあると知ったことと、運搬のためとはいえ日本で馬やヤクを引き連れて歩くのは目立ち過ぎる上、異性にもモテなさそうだということで諦めました。

そんなわたくしの永住地となるのか、それとも遊牧の通過点となるのか、今年の立春過ぎに山口県周南市へと移住を果たしました。これで住民票を移すこと通算14回目。それまで住んでいた大分県・国東半島から周防灘をまっすぐ北上したのは、この海域におけるサワラの動きを踏襲─したわけではなく、街を見たときの印象の良さと、ういろうの美味しさ、コンビナートのかっこよさが決め手となりました。本当はまだ他にもあるけど。さらにセメントが有名ですが、セメントについてまだあまり知らないので、これから好きになれたらいいなと思っています。

わたくしの過去世が遊牧民かどうかはさておいても、この命は一度きりですし、この先も住みたいところに住むだろうと思います。万が一、来世で餓鬼道や修羅道に転生してしまった場合は「瀬戸内に住んでみたいわ」とか言ってられませんからね。でも、あくまでもわたくしの転居は終の住処を探しているからなのです。もうずっとここでいいや、って思える「どこか」を追い求めるからこその、2年おきの転居であり…いや本当に。なんですかその顔は!

 

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